辺保陽一 Youichi Hembo,Recorder
Profile
筑波大学卒業後、カタルーニャ高等音楽院(国費給付生)、チューリッヒ芸術大学大学院(スイス政府奨学生)をデュプロマを得て最優秀の成績で卒業。これまでに向江昭雅、ペドロ・メメルスドルフ、ケース・ブッケの各氏に師事。2009年にはキエフ国立フィルハーモニーメンバーとヴィヴァルディのソプラニーノ協奏曲を共演ほか国内外にて演奏活動
を行っている。ソロデ ビューCD『狂気と嘆き、そして喜び~17世紀イタリア音楽の隆盛~』、ブッケ氏とのCD『DUO~神に捧げるデュオ~』をALM RECORDS
コジマ録音よりリリース、各方面より高い評価を得る。現在、ナカルリコーダー教室、つくばリコーダー合宿主宰。麻布ミュージックプレイス、ミュージックofハート音楽館(水戸)講師。茗溪学園中学校・高等学校非常勤講師。オフィシャルブログ『魂!のリコーダー奏者・辺保陽一』https://www.hembo.jp/
http://ameblo.jp/nakal-fl/
邊保陽一 リコーダーリサイタル2023
革命 The English Revolution
~17世紀イギリス音楽、ルネサンスリコーダーの復古と革新~
トーマス・バエテ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
加久間 朋子(チェンバロ)
プログラム
ジョン・プレイフォード 編纂 ダンシングマスターより
マシュー・ロック 組曲 第3番 ニ調
ウィリアム・ロウズ 組曲 第7番 ニ調
ニコラ・マテイス パッサージョとグラウンド 他
■つくば公演
2023年8月4日(金)19:00開演
ノバホール・ホワイエ(茨城県つくば市吾妻1-10-1)
全席自由 一般3000円/大学生以下2000円(要学生証)
■宮崎公演
2023年8月5日(土)15:00開演
Salle Mandjarサル・マンジャー(宮崎市船塚2-17)
全席自由 一般3000円/大学生以下2000円(要学生証)
■東京公演
2023年8月11日(祝・金)14:00開演
日本福音ルーテル東京教会(http://jelctokyo.
全席自由 一般4000円/大学生以下2500円(要学生証)
■関西公演
2023年8月12日(土)15:00開演
日本基督教団神戸聖愛教会
全席自由 一般4000円/大学生以下2500円(要学生証) (★当日券は、各チケットそれぞれ500円増)
ご予約・お問合せ
オフィスアルシュ 03-3565-6771
宮崎古楽の会 090-5489-9280
pavane@izm.bbiq.jp 桑田 (宮崎公演のみ)
チケット取扱い:
TIGET https://tiget.net/ (宮崎公演以外)
東京古典楽器センター 03-3952-5515 (つくば・東京)
CONCERT 2022
CD
パリの悦び
オルレアン公フィリップのフランス・バロック音楽
La Joie de Paris
La musique baroque française de Philippe d'Orléans
辺保陽一(リコーダー)
トーマス・バエテ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
郡司和也(チェンバロ)
ALCD-1191 税抜価格2,800円 2020/07/07発売JAN 4530835 112976
アンドレ・ル・サック
組曲第1番 ヘ長調 作品1/1 (1721)
[1] プレリュード
[2] 愛情に満ちた
[3] アルマンド
[4] ロンドー「つむじ風」
[5] メヌエット
[6] (ロンドー形式の)ガヴォット
[7] ジーグ
ミシェル・コレット
ソナタ第2番 ト短調 作品13/2 (c.1734)
[8] 真似っこ
[9] アレグロ
[10] サラバンド
[11] アレグロ
ジャン=バティスト・バリエール
クラヴサン・ソナタ第3番 ホ短調 (1739)
[12] アダージョ
[13] アレグロ
[14] アダージョ
[15] アリア
ジャック・オーベール
ヴァイオリン・ソナタ第4番 イ長調 作品2/4 (1721/1737)
[16] Adagio アダージョ
[17] Allemanda Allegro アルマンド
[18] Aria (Gracioso) – Aria Seconda アリア I & II
[19] Presto プレスト
ジョセフ・ボダン・ド・ボワモルティエ
組曲第5番 ニ短調 作品35/5 (1731)
[20] プレリュード
[21] ロンドー形式のブレー
[22] ロンドー
[23] ファンタジー
[24] ジーグ
[25] マラン・マレ
サント・コロンブ氏への追悼曲 組曲第6番より (1701)
[26] ジャン=フェリ・ルベル
ソナタ第11番「煌めき」 (1712)
〈録音〉 五反田文化センター 2019年8月13-15日
コンサート・ツアー 2019.8/3〜8/10
パリの悦び
II フランス・バロック音楽の栄華~オルレアン公フィリップのパレ・ロワイヤル~(終了)
18 世紀初頭のフランス。時は太陽王ルイ14世の死後、幼いルイ15世に代わり摂政を行うオルレアン公フィリップの時代となり、パリは歓楽の街と化した。摂政の時代が終わった後も、フランスの文化はパリの新しい都会的な趣味に支配される多彩な時代となる。そのような文化の移り変わる中で生まれた魅力あふれる世界を、アルトやヴォイス・フルートなどの様々なリコーダー、そしてフランスで当時親しまれたヴィオラ・ダ・ガンバやクラヴサン(チェンバロ)などの古楽器 を用いて表現していく。陰影に富み生きる悦びに満ち溢れた、真に美しいフランスバロックの世界を、篤とご覧あれ。
PROGRAMME
◆アンドレ・ル・サック
組曲 第1番 ヘ長調(1721 パリ)
プレリュード – 愛情に満ちた - アルマンド – ロンドー“旋風” ‐ メヌエット – (ロンドー形式の) ガボット - ジーグ
◆ミシェル・コレット(1707-1795)
ソナタ第2番 ト短調 作品 13(c.1734 パリ)
真似っこ – アレグロ – サラバンド – アレグロ
◆ジャン=バティスト・バリエール(1707-1747)
ソナタ 第3番 ホ短調(1739 パリ)
アダージョ - アレグロ - アダージョ - アリア
◆ジャック・オーベール(1689-1753)
ソナタ 第4番 イ長調(1721 / 1737 パリ)
アダージョ – アルマンド – アリア I&II– プレスト
〜 Pause 〜
◆ジョセフ・ボダン・ド・ボワモルティエ(1689-1755)
組曲 第5番 ニ短調 作品 35(1731 パリ)
プレリュード – ロンドー形式のブレー - ロンドー
ファンタジー – ジーグ
◆マラン・マレー(1656-1728)
組曲 第6番(ヴィオール曲集第2巻 1701 パリ)
プレリュード – パッサカリア – ジーグ –
サント・コロンブ氏への追悼曲 – クーラント
◆ジャン=フェリ・ルベル(1689-1755)
ソナタ 第 11 番 “煌めき”(1712 パリ)
..........................................
■茨城・鹿嶋公演
2019年8月3日(土) 昼二回公演
@バロン・ド・オーロ(神栖市平泉239-1/0299-94-8777)
I: ランチ11時~ 公演12:00~
II:ランチ13時~ 公演14:30~
4000円(ランチ付きの為、他の公演と多少プログラムが異なります)
■茨城・つくば公演
2019年8月4日(日)13:30開場 14:00開演
ノバホールホワイエ
一般 3000円 学生2000円
■大阪公演
2019年8月8日(木)19:00開演
ノア・アコルデ音楽アートサロン
一般4000円 学生2500円
■東京公演
2019年8月10日(土)19:00開演
東京オペラシティ 近江楽堂
一般4000円 学生2500円
ご予約・お問合せ
オフィスアルシュ(マネジメント) tel.03-3565-6771 https://www.officearches.com/
ナカルリコーダー教室 tel.029-859-5136 nakal@hotmail.co.jp
共演者プロフィール
ヴィオラ・ダ・ガンバ/ トーマス・バエテ
Thomas Baeté,Viola da Gamba
幼少の頃より、出身地であるオーステンデの音楽学校でヴァイオリンを始め、同時に少年合唱団で歌い始める。中等教育終了後、アントワープ音楽院にてヴェガー ド・ニールセンにヴァイオリンを師事と同時に、古楽やヴィオラ・ダ・ガンバに出会う。独学で始め、P.ストリケルスの手ほどきを受けたのち、1997年よ
りブリュッセル王立音楽院にてW.クイケンに師事。その後J.サバール、P.パンドルフォ、S.ヴァティヨン、P.メメルスドルフなどのレッスンを受ける など、古楽やヴィオラ・ダ・ガンバの造詣を深める。またCapilla Flamenca (Dirk Snellings音楽監督)、Mala Punica (Pedro Memelsdorff)、Graindelavoix (Björn
Schmelzer)、La Caccia (Patrick Denecker) 、The Spirit of Gambo (Freek Borstlap)やLa Roza Enflorese等に所属し、レコーディング活動やコンサートにおいてヨーロッパ諸国はもちろんのこと、南北アメリカ、モロッコ、ロシアなどで精力的に
活動している。現在ルーヴェン音楽大学、ヴォリュウェ=サン=ランベール音楽学校にてヴィオラ・ダ・ガンバとアンサンブルの指導をし、後進の育成にも積極 的に取り組んでいる。
https://thomasbaete.be/
チェンバロ/ 郡司和也
Kazuya Gunji,Harpsichord
慶 應義塾大学在学中にチェンバロに出会ったのをきっかけに東京藝術大学音楽学部古楽科で学ぶ。在学時に安宅賞、卒業時にはアカンサス音楽賞ならびに同声会賞 を受賞。大学院在学中に渡仏、リヨン国立高等音楽院で研鑚を積み、審査員全員一致栄誉賞つき最優秀賞で卒業。在学中の2010年、ベルギーのブルージュ国
際チェンバロコンクールで邦人では24年ぶりとなる最高位(第2位)を受賞。チェンバロと通奏低音を鈴木雅明、辰巳美納子、フランソワ―ズ・ランジェレ、 ジャン=マルク・エーム、イヴ・レシュタイナー、ディルク・ベルナー、アリーン・ジルベライシュの各氏に師事した。平成24年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員。藝大在学中よりバッハ・コレギウム・ジャパンや群馬交響楽団など数々の団体と共演。フランスでは、リヨン・オペラ座、オーヴェルニュ室内管弦楽団、パリ室内管
弦楽団、トゥーロン・オペラ座、サンテティエンヌ・オペラ座と定期的に共演している。また数々の古楽アンサンブルの中核メンバーとしてCD録音にも参加し ている。2014年には野澤知子、會田賢寿の両氏とチェンバロ・トリオ six mains huit pieds(シマンウイピエ)を結成し東京で公演。2018年にはラジオ・フランスのスカルラッティのソナタ全曲録音の演奏者の一人に指名され、南仏ソ
レーズのリュミエール音楽祭で録音リサイタルを行う。これまでにトゥーロン地方音楽院で講師を務めたほか、現在は演奏活動の合間を縫ってリヨン国立高等音 楽院とリヨン地方音楽院で講師を務め、後進の育成にも力を注いでいる。
ケース・ブッケ&辺保陽一 CD神に捧げるデュオリリース記念
2019.12.23 東京オペラシティ近江楽堂(終了)
リコーダー/ケース・ブッケ、辺保陽一
Recorder / Kees BOEKE, Youich Hembo
ケース・ブッケが温め続けた珠玉の二重奏。
ぜひお聴き逃しなく!
プログラム
13世紀後半のドゥクチア ハーレイ手稿譜より
J.べディンガム(Ca.1450) マヌス・デイ
J.オケゲム 主なる神よ(Ca.1460)
C.フェスタ ラ・スパーニャによるコントラプント(Ca.1530) 他
2019年
12月23日(月) 19:00開演(18:30開場)
東京オペラシティ 近江楽堂
全席自由
一般4500円/大学生以下2500円
■チケット取扱い
東京古典楽器センター 03-3952-5515
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/3125730001
■ご予約・お問合せ
ナカルリコーダー教室 029-859-5136 / nakal@hotmail.co.jp
CD 狂気と嘆き、そして喜び~17世紀イタリア音楽の隆盛~
La pazzia, il dolore e la gioia
Youichi Hembo, flauto Hanako Kamogawa, cembalo
1 G. B. ヴィヴィアーニ:シンフォニア・カンタービレ
Giovanni Bonaventura VIVIANI: Symphonia Cantabile (1678, Venetia)
2 M. ウッチェリーニ:ソナタ第7番 作品5-7
Marco UCCELLINI: Sonata Settima op.5-7 (1649, Venetia)
3 M. カッツァーティ:ソナタ「ラ・カルヴァ」
Maurizio CAZZATI: Sonata “La Calva” (1648, Venetia)
4 G. A. パンドルフィ・メアッリ:ソナタ第6番「ラ・ヴィンチオリーナ」作品4-6
~敬愛するテオドラ・ヴィンチオーリ婦人に捧ぐ~
Giovanni Antonio PANDOLFI MEALLI: Sonata Sesta “La Vinciolina” (1660, Inspruch)
Alla Molto Illustre Signora Teodora Vincioli mia Signora singularissima
5 A. ファルコニエリ:アレマーナ「村」
Andrea FALCAONIERI: Alemana “La Villega”
6 A. ファルコニエリ:モタ城のペドロ氏に捧ぐコリエンテ「ラ・モタ」
Andrea FALCONIERI: Corriente echa para Don Pedro de la Mota “La Mota”
7 A. ファルコニエリ:「女王」
Andrea FALCAONIERI: “La Monarca”
8 A. ファルコニエリ:コレンテ「慎重さ」
Andrea FALCAONIERI: Corrente “La Prudenza”
9 A. ファルコニエリ:ブランド「赤いもの」
Andrea FALCAONIERI: Brando “Il Rosso”
10 B. ストラーチェ:トッカータとカンツォン[チェンバロ・ソロ]
Bernardo STORACE: Toccata e Canzon [cembalo solo]
11 G. フレスコバルディ:バレットという名のアリア[チェンバロ・ソロ]
Girolamo FRESCOBALDI: Aria detta Balletto [cembalo solo]
12 G. A. パンドルフィ・メアッリ:ソナタ第4番「ラ・ビアンクッチャ」作品4-4
~敬愛するG.ジャコモ・ビアンクッチ氏に捧ぐ~
Giovanni Antonio PANDOLFI MEALLI: Sonata Quarta “La Biancuccia” op.4-4 (1660, Inspruch)
Al Molto Illustre Signore Gio. Jacomo Biancucci mio Signore singularissimo
13 G. A. パンドルフィ・メアッリ:ソナタ第4番「ラ・カステッラ」作品3-4
Giovanni Antonio PANDOLFI MEALLI: Sonata Quarta “La Castella” op.3-4 (1660, Inspruch)
Flauti / Recorders
ガナッシアルト (2006年) 譜久島譲 Ganassi Alto (2006) Yuzuru Fukushima 1, 2, 12, 13
ガナッシソプラノ(2003年)譜久島譲 Ganassi Soprano (2003) Yuzuru Fukushima 4-9
ルネサンステナー(2007年)山田有恒(YAMAHA)Renaissance Tenor (2007) Yuko Yamada (YAMAHA) 3
Cembalo / Harpsichord
一段鍵盤イタリアン・タイプ(1990年頃)柴田雄康
Single Manual Harpsichord in the Italian Style of Giovanni Battista Giusti (1995) Takayasu Shibata 1-13
ALCD-1154
〈録音〉相模湖交流センター 2015年1月6〜8日
〈解説〉ダン・ラウリン、ケース・ブッケ、辺保陽一
器楽的な語法が急速な発展を見せた17世紀のイタリア。リコーダー奏者にとって欠かせないレパートリーとなるのが、この時期に多くのヴィルトゥオーゾ誕生 により隆盛を極めたヴァイオリンのための作品群である。カンタービレ溢れる演奏と優れたテクニックで、特に初期〜中期バロック音楽の解釈に定評のある辺保
陽一が、チェンバロの鴨川華子の好サポートを得て、劇的な表出に満ちたマニエリスムの諸相をダイナミックに描き出す。
~彼らの音楽づくりはとても精確で洗練されており、それはあたかも「言葉のない歌(無言歌)」のごとく、まるで奏者たちが「一緒に会話している」ようだ~ [ダン・ラウリン(リコーダー奏者)]
鴨川華子 Kamogawa Hanako, Harpsichord
大 阪府に生まれる。東京音楽大学ピアノ科を経て、同大学研究科チェンバロ専攻修了。チェンバロを渡邊順生、アンサンブルを宇田川貞夫の各氏に師事。第9回 国際古楽コンクール<山梨>最高位入賞。第7回栃木[蔵の街]音楽祭賞受賞。1998年ブルージュ国際古楽コンクール入選。現在、ソリストおよび通奏低音
奏者として活躍している。「ジョーバン・バロック・アンサンブル」メンバー。
レコード芸術 準特選盤
朝日新聞 for your Collection 推薦盤
■レコード芸術 準特選(2016年1月号)
美山良夫 準推薦
バルセロナとチューリヒで学んで帰国後、師である大御所のケース・ブッケと国内ツアーをおこなうなど着実な活動を続けている辺保陽一がはじめて世に問う ディスク。即興性、テクニックの探求、形式の自由さなど、17世紀のイタリア音楽の魅力をリコーダーでも全開にするには、ヴァイオリン音楽からその資源を
大胆に取り込もうという企図のもとに、魅力的な曲目がならんでいる。さらにこの演奏には、ガナッシ・モデルのルネサンス・リコーダーを用い、その可能性を 探求しようという目論見もおりこまれている。辺保陽一の演奏は、外面的な効果をねらったものではない。パンドルフィ・メアッリのソナタは近年リコーダー
(とくにソプラノ)で演奏される機会もふえているが、たとえばここに収録された〈ラ・ビアンクッチャ〉(作品4−4)の演奏は、テンポ表示が頻繁に変わる なかで自然な連続性を保ちながら、ときにスタッカート的に、ときにテンポの伸縮を、また装飾を加え、譜面から豊かな変化をひきだしている。ヴァイオリンの
ために書かれたパンドルフィ・メアッリやウッチェリーニなどの技巧的なパッセージを、アルト・リコーダーで演奏してみせるところにも演奏者のかける思いが あろうが、華美にならずに技巧と音楽的な内実との美しいバランスが保たれている。リコーダー奏者で、優れたチェンバロ製作家でもあった故柴田雄康作になる イタリア様式の楽器による通奏低音や独奏が、この演奏に錦上花を添えている。
皆川達夫 準推薦
『狂気と嘆き、そして喜び』という魅力的なタイトルのCDである。副題の「17世紀イタリア音楽の隆盛」のように、アンドレーア・ファルコニエーリ (1585ごろ〜1656)、マウリツィオ・カッツァーティ(1620ごろ〜77)、ジョヴァンニ・ブオナヴェントゥーラ・ヴィヴィアーニ(1638〜
92以降)といった、あまり名の知られていない17世紀イタリアの音楽家たちのソナタやシンフォニアなど11曲を3種のリコーダーで奏し、さらに2曲の チェンバロ独奏曲を収めている。ひたむきに押して押しまくり、やる気満々、元気溌剌の演奏は、リコーダーの辺保陽一さん、チェンバロの鴨川華子さんによ
る。それでいて破綻はあまりなく、他のことは気にせずに腕に覚えの技を動員して、体当たりで突き進んでゆく。「あの魅力的なCDタイトルは、そういう意味 だったのか」と、感心させられる意欲的な演奏である。リズム感よく、音楽的な勘するどく、説得力もある。収録された作品からみて、これもひとつの適切なア
プローチと言えるであろうし、その演奏の積極性は評価したい。ただし、聴く側にしてみると、その時その時の音の動きに引き込まれて、演奏が終わった後の余 韻や情感がほとんど残らないことも否めないようである。
神崎一雄(録音評)
一聴して印象的なのは演奏空間の隅々にまで浸透的に鳴るのびやかなリコーダー。それが快適さを聴き手に与えるように働く。チェンバロも繊細感に溢れる。
〜〜〜
■朝日新聞 for your Collection クラシック音楽 推薦盤
辺保陽一&鴨川華子(ALM)初期バロックのソナタは名人芸的技巧が聴きどころ。それを辺保のリコーダーが、いとも軽やかに吹きこなす。チェンバロの鴨川との息の合った合奏がまた実に楽しい。(金澤正剛)
〜〜〜
■ぶらあぼ 2016年2月号 New Release Selection
筑波大からスペイン、スイスに学び、国際的な活動を展開する辺保。今回は、イタリア中期バロックのヴァイオリン作品に、リコーダーのレパートリーとしての 可能性を見出す。伸びやかな美音と鮮やかな技巧に、繊細な音程の揺らしや大胆なポルタメントなど独特の効果を巧みに織り込みつつ、リコーダーならではの表
現を希求。シンプルな楽曲の中にも、バロック期を生きた人々の感情の起伏や、輝く陽光を浮き彫りに。そして、イタリアン一段鍵盤チェンバロを駆る鴨川のプ レイぶりも、当意即妙かつ饒舌で魅力的。2つの添えられた小さなソロ楽曲も、ピリリとスパイスが効いている。(寺西肇)